言葉の問題は人格の問題だ

  • 017 レッテル貼り(ネームコーリング)(35頁)

 扇動家は自分の気にくわない人や考えに対し、ネガティブな形容詞や、強い偏見を引き起こす人名を持ち出す。(中略)そういうレッテルが、聞く人の態度に影響するだろうと考えているのだ。
 「人種差別主義者」「無政府主義者」「過激派」「反動的」というレッテルは、聞き手に偏見を受け付けられるかもしれないけれど、そもそも聞き手は、その用語が定義されて、ちゃんと証拠が出てくるまでは、眉にツバをつけて聞くべきだ。

  • 028 事実のでっちあげ(カードスタッキング)(42頁)

 扇動家は一面的な見方を示すために、情報の一部だけを持ち出すときもある。ときには都合のいいデータを捏造したりもする。あるいはあっさりウソをついたり。事の真実を知らないわれわれは、反論することもできない。知らないうちに、相手の有利になるような手札を仕込まれたトランプをやらされているようなものだ。だからこのテクニックは、仕込み(カードスタッキング)とも呼ばれている。

  • 075 重箱の隅をつつく・揚げ足取り(119頁)

 重箱の隅をつつくことで脱線できる。あなたはちょっとしたまちがいをする。すると相手は、それがごく細かいことで、しかも論点にはまるっきり影響しないにもかかわらず、そこをしつこく責め立ててくる。(中略)
 聞き手の信用も弱まるかもしれない。その点でまちがっているなら、他のところもまちがっているんじゃないか、と聞き手は思い始める。こうした重箱の隅つつきは、揚げ足取りとも呼ばれる。(以下略)

  • 078 相手が言ってないことを言ったことにする(121-122頁)

 ときには、相手の議論を引き伸ばすかわりに、向こうの言っていないことを主張することもある。向こうが実際には言っていないことを「言った」と主張したり、そうにおわせたりする。あるいは、言っていなくても「言っているに等しい」と主張したりするわけだ。(以下略)

 現瞬間にも、実例は社会に溢れている。