「ワーキングプアⅡ」(NHKスペシャル、10日放送)を見る

  • この1,2年、NHKのドキュメンタリーは傑作揃いであるが、今回も見せてくれた。啄木の「働けど、働けど…」の世界が、現在の日本で広がっている。ぎりぎりまで働いているのに、生活に足るだけの収入が得られない国に、日本はいつからなってしまったのだろうか。
  • この番組の優れている点は、現在の安倍内閣の「再チャレンジ」政策の問題点に正面から触れていることだ。高収入の仕事に再就職する事が、現在の日本の就労環境ではいかに困難かを、実例で示していた。こういう視点の番組が民放でももっと放送されるべきだと思った。
  • 振り返って私も、半年後や一年後がどうなるか想像できない生活である。10年後なんて勿論、老後の事など考えられるはずもない。番組では80歳の男性が空き缶拾い(というかゴミ箱からの窃盗?)で月5万円を得て、夫婦で暮らしている様子を取材していた。映像に登場したのは未来の私の姿か?私だけでなく、多くの不安定な30代の「老後」が、このままでは迎えられなくなる。現在、団塊の世代の多くが「定年」を迎えているが、私たちの世代はもう、その年代まで無事に生きていられる保障がない。この非常に危険な状況を食い止めなければならない。