(2/9)暖かな夜明け

  • 午前4時。窓の外から雨音が聞こえてくる。まるで春のような暖かさ。それだけ早く花粉がやってくるのかと思うだけで憂鬱になる。
  • 朝食時にも鎮痛剤を服用したので、さすがに研究作業のペースは上がった。しかしそれもお昼までのこと。根本的な「何か」が解決していない以上、鎮痛剤は一時的な緩和に過ぎない。
  • 体調のすぐれない時は、「ブログサーフィン」をして過ごすことが多い。数名の著名人のブログが再開しているのを見たりすると、「ああ、この人も数日書けない状況だったのかな」と思ったりする。それにしても毎日必ず更新している人、しかも必ず画像を入れていたりする人には、有名無名に限らずひとしく感心する。すごい努力だと思う。と同時に、心のどこかで「私には、そこまでブログに打ち込む時間はない」と切り捨てている自分を発見したりする。中途半端な自分にうんざりする瞬間。
  • 夕方まで研究作業(途中、仮眠を挟む)。多少進む。
  • 夜から最後のライスワーク。本当にいつも通りに働き、多分数人以外の人は私が今夜限りだということを知らずに、私はこの職場を離れる。マグネットの名札はもう使わない、ということも言い忘れた。来週からのタイムカードも置いてあった。私が辞める事は総務のアルバイトにも伝わっていない証拠だ。
  • 歓送会も退職金もなく、いつもどおりに「おつかれでした、おさきです」と言い残して終る。もしかすると人生の終わりも、こんな感じかもしれないと思った。こうして、私はこの職場の人間の記憶からも消えていく。私が働いている間に現職死亡した数人の職員の顔が浮かんだ。たぶん、もうすぐ私もあなた方を忘れる。私が忘れられていくように。
  • 感傷的になっていても仕方がない。私は明日から新しい人生。問題は収入が少ないだけだ。相方の愛情に支えられて、私も相方の生活を支えつつ、生活は続く。まずは当面の研究発表、論文原稿を締め切りまでに仕上げていくことだ。