(訃報)河合隼雄氏死去

  • 今日19日、河合隼雄氏が脳梗塞のため死去した。79歳だった。(朝日の「おくやみ」
  • 先ほど報道していたNHKニュースでは触れなかったが、河合氏が脳梗塞で倒れたときのことを私は良く覚えていた。氏は昨年8月、文化庁長官の立場で高松塚古墳の損傷隠蔽問題にたいする「お詫び行脚」生活の中で倒れたのだ。(「河合隼雄 古墳」でググれば、このころのニュースが多数見つかる)
  • 昨年9月、私は高松塚古墳のある明日香村に出かけている。損傷隠蔽問題の後始末をどうしようかという頃である。母校関大大学院の哲学専攻院生研究発表会が明日香村の施設(関大には故・網干先生のつながりなのか、明日香村に研修施設がある)で開催されるため、参加したのだ。(合宿の様子は、前のブログに書いている)
  • 合宿の夜の懇親会で、私はこんな話をしたことを覚えている。「河合氏がもし一命を取り留めたとしても、もう研究者としての復帰は無理だろう。氏が文化庁長官になる前から高松塚古墳の問題はあったにもかかわらず、氏が政治の世界に足を踏み込んでしまったがために、こんな事態になってしまった。78歳(当時)の老体で真夏の日本を駆けめぐってお詫びに回るのは酷なことだ。氏は文化庁職員の隠蔽体質によって研究者生命を奪われたといって良いのではないか」
  • そして今日、身体的生命までも奪われたわけだ。すでに古墳は切り刻まれて別の場所へ移されてしまった。私はユング心理学にシンパシーを感じてはいないが、このような形で「一人の人間の研究者生命」が終わったという事実を、私は書かずにはいられなかった。ご冥福をお祈りします。