(11/21)津8週目

  • 私が津で担当する科目は「社会思想史」である。この科目を担当するようになってからずっと、学生に「社会の現状認識」「社会に対する態度」「理想社会像」などを尋ねてきた。
  • 理想社会のイメージ」については年によって流行があるのか、今年の「一番人気」は、「格差のない社会」である。「平等」や「差別のない」といった表現も多いが、少数派で必ず「格差は必要」、いわば「大金持ちになれるチャンスのある社会」であることに力点を置く学生がいる。そういう学生の共通点は、「平等」に対してきわめてネガティブなイメージを持っていることだ。えてして「平等だと自由がない」と書いてきたりする。「平等は必要」と言う学生でも、数名は必ず「完全な平等は逆に不平等」という回答を出してくる。
  • 学生に「じゃ不平等な社会の方が良いの?」と聞くと、「不平等は嫌だが、平等も嫌」という複雑な反応を示す。これは単に「語義の混乱」というのもあるだろうが、高校生までの間に、こういう概念について整理して学ぶ機会を与えられなかったのもあるだろう。
  • 社会の中の「平等」や「不平等」を考える上で、この若年層における「平等概念認識の貧困」が、意外に重要なのではないかと私は考えている。