(2/20)今年度最後のディベート助言

  • 昨夜は少し眠れた。今までは大事な仕事だと何でも、前日は眠れずに困ったものだったが、明日の仕事の内容に精神的なゆとりを感じていると比較的スムーズに眠れるようになった。歳を取ってきた貫禄か、単に図太くなっただけか。
  • 阪神電車で会場へ。先生方のすさまじいご努力によって、準備期間の致命的な短さを、カバーしてあまりあるディベート大会となった。来年度以降、この高校にもロジカルなコミュニケーションを学ぶ気風が定着していくことを期待したい。
  • 帰宅途中、東梅田でひさしぶりに讃岐うどんを食べ、旭屋本店へ。さっそく、今月の『文藝春秋』を立ち読み。恒例の芥川賞の審査員による短い文章が載っていた。受賞作の『乳と卵』、俄然読みたくなる。単行本になるまで待ってみよう。ところで、石原慎太郎氏はもう審査員をご辞退なされては如何か。正直に、この選考基準についていけないことを吐露されている。文学界の新しい潮流を理解できない老人の嘆き、といった感じ。
  • 結局、文庫を二冊購入。買いそびれていた『植木枝盛選集』(家永三郎編、岩波文庫の復刊もの)を購入。興味深い文章が続々と。これは来年度の講義のどれかに必ず使おう。
  • そして買ったもう一冊は、先日、芥川賞を受賞した川上未映子さんがBSの番組で勧めていた『篦棒な人々』(竹熊健太郎著、河出文庫)である。私は元々、竹熊氏のブログ『たけくまメモ』の日常的な読者なので、この本の文庫版が出版されたことは知っていた。帰りの車中で読み進めていて思ったのだが、この本の内容は「21世紀の今読むからこそ、インタビューを受けた人物達の凄みが読む側に増幅される」という印象だった。本の冒頭に著者が、本の表題を決定するのに呻吟した話が紹介されているが、たしかに短い単語で彼らを総括する日本語などないのではないか、と思うような話ばかりである。電車の降りるべき駅を間違えそうになるほど引き込まれた。インタビュー本で、ここまで読ませる本は初めてだ。映画『三丁目の夕日』よりも、私は昭和を知るために欠かせないテキストだと思う。