バラエティー番組に「知識」は必要か

  • 先日、友人のO氏と酒を飲みながら、表題について駄弁っていた。私は思う、バラエティー番組が「バカバカしい」のは当たり前だと。良い意味で「くだらない」からこそ、バラエティー番組なんだと。だから、芸人が真面目な顔をして知識を披露するのはおかしいと。
  • 最近は大学名を出して「インテリ芸能人」だの、「インテリ芸人」だのがクイズを大まじめに解いているかと思えば、別のチャンネルでは「お馬鹿」と称した芸能人たちが自分がいかに珍回答を出しているかで笑いを取っている。大喜利でもないのに。
  • 私がバラエティー番組に感じている魅力は、大の大人が揃って知恵をさんざん絞って、バカバカしいことを一生懸命に演じるところにある。ところが、今では芸能人が漢検の問題を解いたり、昔のクイズマニアが喜びそうな知識問題で勝負したり、受験勉強で習ったような問題を解くことが、バラエティー番組での「仕事」になっている。これは「芸」ではない。
  • 放送界の歴史において、クイズ番組の歴史は古い。NHKのラジオ番組からすでに、芸能人の何かについてパネラー(これも芸能人)が当てる、という形式の番組はあった。
  • ただ、その一方で先に私が定義したような「芸」を見せる番組もたくさんあったではないか。私の主観的な印象だが、ドリフターズがテレビから消えたことで「芸」番組の衰退が決定的になったような気がする。「ひょうきん族」も「芸」で暴れていたが、「ビッグ」になった当時の出演者の芸人たちのうち、一体誰が今、テレビで「芸」をしているだろうか。
  • 今や、テレビ界全体でバラエティー番組の比率が大きくなりすぎたのだろうか。出てくる芸人、芸能人の顔ぶれに変化が乏しく、彼らもあれだけ沢山の番組に出ていれば、毎回ネタを見せることも不可能だろう。
  • もちろんテレビは視聴率がすべての世界だから、視聴者が「芸」番組よりも「クイズで笑う」番組にチャンネルを合わせる、というのが現実なのだろう。それも残念な話だ。