「報道発 ドキュメンタリ宣言」を見た

  • 3日のブログで書き忘れたが、この第1回を見た(日刊ゲンダイが褒めていたのを見て、思い出した)。この番組が始まることは、司会である長野智子のブログでチェックしていた。残念ながら、関西では「サンデースクランブル」が見られないので、長野智子の姿を見るのは「朝生」くらいしかないのだが、「ひょうきんアナ」(古いね、しかし)からの脱皮は見事なものだと思う。他のフジ出身「女子アナ」は退社後も芸能人気取りで(あるいは有名人の「妻」におさまり)、チャラけた仕事でアブク銭を稼いでいる者が多い中、長野智子は希有な存在だ。
  • 第1回の内容だが、長門裕之南田洋子の現在を赤裸々に映像に収めている。おそらく「太陽の季節」などの往年の映画ファンにとっては、見たくなかった姿かもしれない。しかし番組中に長門自身が語っていたように、芸能マスコミに詮索されて、あること無いことかき立てられるくらいなら、きちんと見せるべきだと判断したのだろう。でもそれは大変勇気の要ることだったに違いない。視聴者の中には「芸能界は女優のアルツハイマー(の疑い)姿も売り物にするのか」と怒った人もいたかもしれないが、この番組はこの二人の歴史を丁寧に紹介していて、今の様子しか知らない人も分かるように描いていた。長門裕之の父の介護を結婚したばかりの若き南田洋子が女優の仕事をこなしながら務め続けたこと、長門の趣味の映画制作で大赤字を出して南田に迷惑をかけたこと、度重なる長門のスキャンダル(私の世代でも、長門が『洋子へ』を書いて、わざわざ他の女優との肉体関係を書いて本に出した人だというのは知っている)など、長門の側に大きな贖罪意識と、そしてやはり愛情がある(と少なくとも映像は語っていた)。だから、「なぜ彼は今、せっせと介護をし続けているのか」という「理由」も分かる構成になっていた。
  • 長野智子のブログにも書いてあったが、視聴率22.9%(たぶん首都圏だろうが)、瞬間最大が27%だったという。数字的には完勝だったのではないか。「ドキュメンタリーが高い視聴率を得る」というのは画期的なことである。関西での数字はこれよりも下がるだろうが(関西は娯楽を見るためにテレビがある)、しかし同時間帯の「フレンドパーク2」「えみちゃんねる」はマンネリ化しているので、この月曜7時での新番組の投入は関西でも穴場かもしれない。
  • しかし、問題はこれからだとも思った。今回の取材の丹念さを毎週一本ずつ続けていくのは、ただでさえ予算やスタッフの限られる民放では至難の業と思われるからだ。NHKクローズアップ現代」、テレ朝系「テレメンタリー」や「NNNドキュメント」も、私はすべて録画して見ているが、対象への視点が甘すぎたり優しすぎたり、一方に偏りすぎている回が時折ある。おそらくそれはディレクターの思想が偏っているのでなければ、取材の詰めの甘さから来るのだろう。テレ朝は予算も人員ももっと投入して、看板番組にしていって欲しいと思う。