(2/14)今年度の三重短、すべて終了

  • 今日も三重短の「社会思想史」、成績をつける。40人ほどのブック・レポートを採点していく。毎週、学生の短い感想文を読んでいるので、学生それぞれの「筆跡」、「文章表現上の特徴」、「長文が得意か不得意か」まで、ほぼ頭に入っている。
  • これは私の場合でしかないが、「背伸び」した感想表現はむしろマイナス査定になりやすい。「君はこんな表現、生まれてから一度も使ったことがないだろう」と思うような形容詞で作品を述べてみても、「何の本の受け売りか」と疑われるだけである。毎週400字程度の感想を纏まりあるように書けている学生も、その5倍になった途端、構成がガタガタに崩れる。
  • そういう学生が多い中で、ある学生(Sさん)のレポートはさすがだった。毎週の感想でも自分の言葉で鋭い感想が書けていたし、以前の自分の感想を検討することも忘れなかった。周囲に流されない観察力もあったし、最後のブック・レポートでも感想が「自分の言葉」で書けていた。こういうレポートを出してもらえると、講師も減点する必要がないから採点が楽しい。
  • 講師としては、どこかの学者の「オッサン臭い」評論文を探し出して、真似ることを求めているのではない。君が読んで、君の要約で、君の感想を聞きたいのである。「自分の言葉」で表現する、というのは決して易しいことではない。厳しい言い方かもしれないが、18歳そこそこでは、年配の学者の含蓄ある形容表現には最初から敵わない。「君の現在の到達点を的確に表現すること」のほうが、よほど重要である。その方が採点する側も到達を認め易い。
  • ちなみにブック・レポートは、講義中に紹介した思想家なら誰でも良い、としたのだが、学生が選んだトップ3は同数で「マキアヴェリ」、「ルソー」、「平塚らいてう」となった。ヘーゲルも紹介したのだが、案の定(?)ゼロだった。