「現代用語の…」

  • 先月から「現代用語の基礎体力」の過去の名作集を二度にわたって放送し、先週からは当時のメンバーが新作コントを作り、「現代用語のムイミダス ぶっとい広辞苑」として、今週と二週にわたって放送した。
  • 「現代用語」当時はテレビ番組もバブル的な文化が真っ盛りだったが、久しぶりに当時のコントを見て、牧野恵美(当時)の衣装とメイク(髪型、眉毛の太さ)に笑えてしまった。ただ、間違えてはいけないのは、当時そのメイクを笑う人はほとんどいなかったということだ。「これが今どきの流行」というパターン通りにして出演していただけである。もちろん社会人の女性が皆そのファッションをしていたわけでもない。
  • 今でもテレビに出演し続けているメンバーは、比較も容易い。升毅は今よりもっと絵に描いたような美男子だった。立原啓裕もまだ格好良さが残っていた。80年代後半、私の周辺のラジオリスナーにも「立原ファン」は少なくなかった。生瀬勝久は全然変わっていない印象。むしろ、こういうキャラを維持させたままベテランになってきたのだな、と歴史を感じる。古田新太は、当時から漂わせていた中年ぽさに磨きをかけた観がある。他のメンバーも、思ったより当時と変わっていなくて驚いた。ただ、当時関西の小劇場系ではアイドル女優の地位であった羽野晶紀の「少女らしさ」は完全に消え去り、「コスプレする大人」に落ちぶれたのは、時の流れの非情を感じるばかりである。しかしながら、それもまた「喜劇」の良い味付けにはなっていたが。
  • 今回の新作コントは、何と言っても羽野晶紀の芸能界復帰という事件無しには実現しなかっただろう。まだメンバーが若いうちに実現して良かった、というのが一番の感想である。ネタの趣旨がよく分からないコントもいくつかあったが、それは当時とあまり変わっておらず、気にならない。コントは失敗を恐れていては作れない。大事なことは、(過去の番組DVD発売記念とはいえ)「劇団出身者が集まったコントだけの番組」を作ったということであり、そういう番組は昔も今も少ないままだということである。
  • 現在、関西も東京キー局も、深夜枠にこのような「コントオンリー」の番組があるだろうか。「毎週30分を三ヵ月」でいいから、企画してくれる勇気あるプロデューサーや放送作家は居ないものだろうか。