「季論21」

shinyas2008-08-19

  • 今年7月、「季論21」という雑誌が発刊した。編集委員会による「創刊にあたって」には、「思想・文化を中心とした諸問題を平和と民主主義、自由と人権、社会進歩の立場から分析し、問題提起をこころみ、幅ひろい意見交換の場として」創刊する、と述べている。また、本誌を通じて「現状を打開しようとする国内外のさまざまなたたかいや論考を紹介し、創造、批評、研究の成果を交流したい」、「二十世紀の『社会主義』をふり返り、二十一世紀の成熟した市民社会への展望とマルクス主義の可能性をも議論したい」と述べている。
  • 創刊号の目次は以下の通りである。(本の泉社サイトより引用)
  • 今日の考察、明日への思慮(インタビュー)― 辻井喬
  • 言葉の的―竹西寛子
  • 私にとってのマルクス―暉峻衆三
  • グラビア・森住卓
  • 〈特集〉憲法九条という思想=改憲の新たな局面(渡辺治) 日本とドイツの戦後平和主義の条件(望田幸男) 九条の思想(牧野広義) 憲法における九条の位置(森英樹) 戦後史における憲法運動(広川禎秀) 「第九」の平和思想(市川明) 韓国から見た九条(権赫泰) 憲法論を読む(愛敬浩二)
  • ポーランドはいま―小森田秋夫  一九八九年十一月・プラハ―坂本満枝
  • 「クラルテ」の思想と知識人の役割―李修京
  • イラク戦争と日本=イラク反戦兵士として(ジョー・ウィラー)
  • ウィラーとイラク戦争を語った若者たち(安保佳代子)
  • 落語・その笑えない話?(柏木新)
  • 定点観測=アメリカ(円道正実) 韓国(朴眞秀) スーダン(栗田禎子)
  • 沖縄(山口剛史)
  • アメリカの覇権主義をめぐる諸議論(三浦一夫)
  • 映画「靖国」とその上映をめぐって(浅尾大輔
  • 【書評】藤田勇『自由・民主主義と社会主義』(宮地正人
  • 服部龍二他編『戦間期の東アジア国際政治』(井竿富雄)
  • 加藤周一『日本文化における時間と空間』(吉田傑俊)
  • 【小説】同行(林哲佑)韓国・光州事件の癒えぬ傷
  • 奥付には『季論21』の編集委員として、以下の氏名がクレジットされている。

浅尾大輔(作家)、鰺坂真(哲学)、李修京(歴史社会学)、市川明(ドイツ文学)、岩佐茂(社会哲学)、新船海三郎(文芸評論家)、田代真人(ジャーナリスト)、浜林正夫(イギリス近現代史)、堀尾輝久(教育学)、松浦善満(教育学)、三浦一夫(ジャーナリスト)、宮地正人(日本近現代史)、望田幸男(ドイツ近現代史)、森住卓(写真家)、吉田傑俊(哲学)、渡辺治政治学

  • 偶然であろうが、朝日新聞社の「論座」が休刊(9月号、8月発売)したのとほぼ同時に、この「季論21」が世に現れた。構造的な出版不況によって、特に新聞社系総合誌が没落する中、研究者や知識人の自発的熱意をベースに誕生した「知的」で「創造的」なこの雑誌が、こういう雑誌を望む読者の心をつかみ、一年でも長く続いてほしいと思う。