(9/1)映画で充電

  • 今日は映画の日(1000円)だったので、映画を見に行く。「ダークナイト」を見るために「TOHOシネマズなんば」へ。場内はごったがえしの大盛況。チケット売り場はもちろん、ジュースやポップコーン売り場はレジごとに十数人の大行列。なんだこれは。場外やロビーでの画面に「何時何分上映 ○○チケット完売」という表示が流れている。その映画は一時間後じゃないか。映画がもっとリーズナブルになれば、せめて毎日1200円程度だったら、映画産業はもっと変わるだろうに、と思った。
  • ダークナイト」(暗闇の騎士)とは、バットマンのことである。私はバットマンについて何の予備知識もなかったが(前作「バットマンビギンズ」は一切知らない)、この映画だけでも十分楽しめたし、最後は軽く感動さえしてしまった。バットマンが現代のアメリカに実在しているなら、彼は数多くの犯罪(暴力と破壊)行為で警察に追われる身であろうし、巨大な力で正義を維持しようとすればするほど、悪や憎しみも結果として増大させることになってしまい、市民が危険にさらされる場面はむしろ増えていく。「対テロ戦争」という正義で自分たちの安全を脅かすことになっているアメリカの姿を、アメコミ原作の映画が教えてくれる、というのがアメリカ映画らしいところだ。合衆国在住者にはすごくリアルな印象を持ったのではないだろうか。
  • そして「バットマンは決して殺人をしない」というテーマに焦点を当てていたのも興味深いところだった。凶悪な殺人鬼を追い詰めて、あと一歩でその犯人を殺せる場面になってもなお、バットマンは殺人鬼の命を助けてしまう。もちろんそうせざるを得ない自分にバットマンは苦悩するのだが、死刑制度の問題などにも通じるテーマであろう。
  • 偶然だったが、数日前にCS「ムービープラス」で「Vフォー・ヴェンデッタ」が放送されていた。ウォシャウスキー兄弟が脚本を書いている、一昨年の映画である。あの場合は近未来のイギリスが独裁国家となっていて、そこに謎の男「V」が民衆を救うテロ行為を繰り返していく、という話だった。私はこの映画を劇場で二度も見たが、この映画では同性愛者に対する排斥というテーマも盛り込まれており、(ネタバレになるので詳しく書けないが)エンディングは何度見ても感動する。
  • 「暴力と戦うのは当然で、正義のために戦うのは当然だ」というテーゼに焦点に当てた映画は興味深い。「正義のための武力」を巨大化させればさせるほど危険が増大したらどうするのか、「独裁国家の正義」対「テロリズムの正義」は、どちらが「正しい」のか。何かの答えがはじめから用意されているのではなくて、その答えは観客のあなたが考えなさい、とバトンを渡してくれるような映画が、やはり面白い。