「じゃま」という議論こそ邪魔だ

  • 橋下知事「伊丹空港じゃま」 地元市長「暴論だ」(asahi.com) この「関空ありき」「伊丹じゃま」の暴論をいつまで放置しておくのかと思う。
  • この間も仙台へ飛行機で往復したが、伊丹の人気ぶりと関空、神戸の不人気ぶりとはものすごい差がある。ネットで旅行代理店の情報を検索すればよい。国内旅行で伊丹空港発着にしようとしたらどれだけ追加料金を取られるか。逆に関空神戸空港が安いか。人気の差は歴然としていて、「利便性」ではとっくに決着がついている。国内旅行のユーザーは選べるのならば、まず伊丹を選んでいる。そして今年も、関空の国内便が減少する。当たり前だ、利用が少ないのだから。
  • だから「最初に関空ありき」混成合唱団は、別の論理を持ち出した。「伊丹は関空完成後に廃港になるはずだった」論である。この論が何故破綻したか。巨額の費用を無駄遣いしてできあがった関空が、結局伊丹の持つ能力をカバー仕切れていないことにつきるのではないだろうか。伊丹の利用者数は国内便を一部政策的に関空に移しても、大きく変わっていない。関西一人気の空港であることに変化は生じていない。
  • もし今、伊丹を廃港にしたらどうなるか。周辺自治体の経済効果はもちろんのこと、関西圏の航空機利用による国内旅行者数が減少していくだろう。たとえば、大阪府北摂の方ならば、自宅から関空での離陸時刻まで3時間もかかる。仮に1時間少々で仙台空港へ着いて、仙台駅までアクセス鉄道に乗る時間を入れたら、東京駅乗り換えの新幹線でかかる時間と変わらなくなる。伊丹廃港は、皮肉にもJRグループの大きなビジネスチャンスになる。それとも、思慮深い知事は、大阪府民に飛行機を使わない「エコな生活」を提案されているのだろうか。いや、関空で飛行機を利用してほしいのではなかったか。どうなっているんだ。
  • 先に北摂発の例を挙げたが、伊丹や関空大阪府民のためだけにあるのではない。伊丹の存在は京都や滋賀の利用者に不可欠だし、関空のおかげで和歌山の利用者は助かっているだろう。問題は関西全体で利用している空港が、一つの府の負担問題にされてしまっていることではないか。
  • 不便な空港を巨額の費用で新設し、便利な空港を廃港せよと主張する愚。たとえて言うなら、赤字で悩むオリックス球団の力で阪神タイガースを無くせば、関西の野球ファンは皆、オリックスバファローズの試合を見に来るだろう、というような話。そんなアホな。それが嘘やということは、近鉄バファローズを吸収したときに分かったはずでっしゃろ。