研究者のスタンス

  • 夜、ネットで次の論文に向けた資料検索を行っていたら、某会の世話人会などで生じている一連の事態について触れたブログを、偶然目にした。私は慌てて、最近見ていなかった「会」のブログを覗こうとしたが、もうすでにブログは消えていた。複数名の検証ブログで「分裂」や「混乱」と形容された記事を見れば、私が以前からブログに対して抱いていた、「会の規模は大きくなっているようだが、民主的な運営はできているのだろうか」という心配は、かなり早く表面化してしまったようだ。
  • ここから書くことはあくまで一般論であるが、私も大学で「ジェンダー論」を担当している端くれとして、また「バックラッシュ」やジェンダーに対する「バッシング」にも関心を持って調査・研究してきた身として、具体的目標を設定した運動や啓蒙の団体との関わり方というか、距離の取り方の難しさを感じることがある。運動に指導的影響力を持つ者の「理論」と、それに賛同する人々によって形成された会なら、尚更だ。指導的理論およびその発信者の意向に「疑問を挟む」ことは運動の停滞を求めていると受け取られ、「異議を唱える」ことは運動の妨害を企んでいると受け取られかねない。目標の達成が理論の真理性を証明したことにすり替わり、目標不達成の場合は達成を阻止した(ように見える)者すべてが敵意と憎悪の対象になりかねない。