(5/29)休養を取りつつ(昨日の聴講のことなど)

  • ちょっと風邪気味なので、今日はゆっくりめの仕事のペースで。イライラを沈めるには休養に限る、とばかりに午前中はゆっくりさせて頂いた。午後からプリントづくりなど。
  • 昨日のことだが、関大大学院の講義「都市の風土学」に聴講に出かけた。木岡先生が講義される回だと知っていたからだ。テーマは「風景としての都市」。今回も風景のピラミッド的構造について短時間ながら説明された。弁証法的なアイディアも一部使われているような気はするが、基本的には異なる構造である。
  • 表現的風景の例として、織田作之助の「夫婦善哉」を例に挙げておられた。数ヶ月前であったか、NHK教育のドキュメンタリーで、この「夫婦善哉」には続編があること、その草稿が発見されたことを紹介していた。すでに出版もされている。しかも、理由が改造社側が検閲を恐れた「自主規制」によって掲載を見送られたからである。この幻の続編について私が興味を抱いている点はやはり、「なぜ舞台が別府なのか」である。次姉夫婦が別府にいたなどの背景があるようだが、正編で描かれた「大阪」が、発表当時の大阪では既に無かった(当時の大阪市長・関一による「大大阪」計画)ことを重ね合わされば、続編では「心の中の大阪」からも離れてしまった、織田の心情が表現されているのではないかと解釈できる。
  • もしこの続編が戦時中のさなか、『改造』から出版されていたならば、戦後あれほど『夫婦善哉』がヒットしただろうかと思う。しかし、織田はこの続編が載らないであろうと知りながら書いたのかもしれない、とも思う。彼にも当時の雑誌の「自主規制」のひどさは耳に入っていたから、執筆する際に自ら「規制」すれば、載せることができたかもしれないのに、それをあえてしなかったとすれば?色々な憶測はできるが、真相は織田にしか分からないのかもしれない。いずれにせよ、織田の作品は大阪の「風土学」を考える上で好材料であることは間違いない。
  • 講義終了後、先生と他数名の先生方とご一緒にボルカノへ。いつも混んでいるが、昨日も混んでいた。いつも思うが、ここのピザはナポリ風でハズレがない。パスタも個性的で食が進む。Buono!私は一年ほど行っていなかったのだが、良いメニューが増えている印象だ。関大前通りも店の入れ替わりが激しいが、この店は少なくとも、私が大学院入試で来た頃から変わっていない。だからもう十数年経つことになる。