(12/17)高槻で高校三年の女子生徒相手にいい大人がマジになってディベートに勝ちに行った話

  • 今日は高校でのディベート最終日。私も無給で参加。早めに待ち合わせて作戦会議。本気である。高校生相手でも手を抜かないことが大事だ、と確認する。
  • 昨日も書いたとおり「小学校で英語必修化すべき」について肯定、否定に分かれて実践。生徒は二班に分かれ、肯定か否定を担当。私たちは両方を準備して対抗する。つまり、私たちは第一試合と第二試合で180度違う立場で弁論するわけだ。生徒は一班四人、一方私たちは二人である。
  • タイムテーブルは立論4分×2、作戦3分、反対尋問2分×2、作戦3分、反駁2分×2、作戦3分、最終弁論3分×2、の順で進行。高校生の実践では弁論の準備が遅れがちなので、作戦タイムを長めに取った方が意図する弁論ができるようだ。私たちも3分あれば余裕を持って準備でき、その場で簡単な反駁原稿も考えられた。
  • クラスの皆は、ある一人の生徒の実力を高く評価しているようだった。だが、自覚していただろうが、彼女は本番に余り強いほうではない。おそらく自分に高いハードルを課しているせいだろう、緊張して失敗することもある。しかし今回、彼女が第一試合の司会として試合全体の感想を述べたときに、その「まとめる力」(コメント力とも言うが)の高さに私は驚いた。正確に全体を見渡しており、かつそれぞれの論理を把握していた。その力の高さは、私が接している大学一年生よりも数段上だった。他にも、ずいぶん弁論が上達している生徒がいたのも、対戦しながら嬉しかった。こちらを「本気」にさせてくれるほど、彼女たちがディベートに慣れてきているのが分かった。第一試合、第二試合と対戦してみて、彼女たちのスキルアップをじかに確認できた。細かな点で課題は残ったが、それを指導する時間はもはや残っていない。これはそれぞれが次のステージで鍛えていくことだ。
  • で、帰りの電車の中、「あんなに本気で勝ってもいいのかね?」と話題になった。でも、これでよかったんじゃないか、という結論になった。彼女たちがこれから社会に出て行けば、力関係の違う見ず知らずの相手に論理を戦わせなければならない場面は何度もやってくるだろう。そのときにどんな相手でも冷静に相手の問題点を指摘し、自分の立場の優位を第三者に示すスキルがあるとないとでは大違いだろう、実際にそのスキルを使わなかったとしても。相手が年上であろうが、相手が男であろうが、手加減無しに堂々と対戦を経験することに意味がある。
  • 「自分はこう思う」と意見を提出する際に、その意見に反対の人はどのような反論をするか予測できるか、そして反論をどんなに予想しても反論されない「何か」を見つけ出して、それを説得材料として主張する練習を早いうちから積んでいけば、説得だけでなく、意思疎通や相手の意見に耳を傾ける力も向上する。ロジカルな「コミュニケーション・ツール」としての日本語は、やはり高校生のうちに一定の訓練を積むべきだと改めて思った。その基礎さえできていれば、あとはプレゼンやディスカッションなどは技術的なアドバイスを加えていけば良い。偏差値には現れにくいかもしれないが、習得しているといないとでは、個人の能力開発に大きな差が出ることは間違いない。