ギリギリの抵抗

  • 私は、学生への質問を受け付けるメールアドレスを設定している。「質問箱専用」メアドである。
  • 毎年この時期になると、その「質問箱」に、単位取得ができなくなりそうなことを心配する「何とかなりませんか」メールが届く。厳しいことを書くが、これほど困ったメールはない。どう泣き付かれたって、こちらは受講開始時に採点基準を公表し、配分の大きなテストやレポートに関しては学生に注意を喚起し、必ず出席・受験・提出するように促してきたのだから。成績の採点基準を決めた以上、特定の学生だけに依怙贔屓をして、結果的に他の学生の努力を軽視するようなことは、他の学生に失礼だとは思わないか。学生の公平感を維持するのも教員の仕事だろう。
  • どんなに促しても欠席が多く、居眠りが多く、課題を「こなそうとしない」(「こなせない」ならまだ大目に見ても良い)学生に限って泣きつく。しかも、そういう学生は単位が取れなかった後にもメールを送ってきたりする。まるでクレームをつける消費者のような口調で「どうしてこうなったのか説明してくれ」という者さえいる。
  • 一言「自分の胸に聞いてみろ」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえ、平常点評価の場合は「出席回数」「遅刻回数」「授業中の態度」「課題の未提出」等が大きく影響することを子どもに諭すように説明する。別にこれは全国で私の授業だけのルールではないだろうに。
  • 私は正直分からなくなる。全国の私以外の授業では、どんなに居眠りしようが遅刻しようが課題をやってこなかろうが、単位は取らせてもらえるものなんだろうか。私の授業だけが厳しすぎるのだろうか。しかし、そのように甘やかされた採点基準で卒業した学生が、社会で甘えを許されずに挫折するのは目に見えているのではないか。
  • さらに、私の場合はCを付けて単位を与えるくらいなら、Dをつけて別の授業でAを貰うべき、と思っている。*1その方が卒業時の平均成績も高くなるだろうし、結果的に本人にとってプラスになると思うからだ。でもそのような考え方は目先の単位を欲しがる学生には迷惑なんだろうな。
  • 学生に「単位を取ることは甘くないんだ」と思わせるのも、逆にナメられてしまうようになるのも、多くは教員の側に責任があると私は思う。私は非常勤講師という身分ながら、今年もギリギリの抵抗を試みている。

*1:もちろん、もともとCの成績だったらCをつける。此処で言っているのは、少し足りなくてDになった学生に下駄をはかせる云々、という話である。