北京で見てきたこと(その1)

  • 私は8月29日から9月1日まで北京におりました。順番に旅の行程を書いていくとキリがないので、各項目別に感じたことや情報を列挙していきます。
  • 「空港」北京首都国際空港はバカでかい。その一言。北京を離れる時に分かったが、この空港は手荷物検査を受けた先のエリアでも人民元を使って土産物を買わせるシステムになっていた。通路に外国紙幣を人民元に両替する自動両替機が設置してある。なぜそのことが気になったかというと、韓国の仁川国際空港では、手荷物検査を受けた先はすべて「ドル決済の世界」だったからだ。品物の値札が全部ドル建てだったのは強烈な印象として残った。それに対して中国はあくまで人民元を使用させようとしていた。もっとも、これから中国を離れるのに人民元で支払わせるのは不便と言えば不便なのだが、たとえ国際空港でも自国の通貨を使わせるのは当然だろうという気もした。私は売店マイケル・ジャクソンのベスト盤CD(2枚組)を買った。初期から全盛期までの代表曲がおよそ40曲入って、88元(約1230円)。
  • 「クルマ」。空港から街中への高速道路、市内中心部の道路も、外車、外車のオンパレード。正しくは合弁企業の車と言うべきなのだろうが、一番よく見かけたのはフォルクスワーゲンのセダン。ついでヒュンダイ。日本のメーカーではトヨタとホンダはたくさんあったし、日産やスズキも少し見かけた。高級外車は名のあるヨーロッパのメーカーはほとんど全部、街で見かけた。北京という街全体が、金持ちのための街になってきているのだろうか。ガソリンはレギュラー(93と表記)が、私が行った頃はリッター90円弱、ハイオク(と思われる。ガイドが「高級車用のガソリン」と言っていた、97番と表記)は100円弱だった。バスの初乗り運賃が6円弱、地下鉄でも乗り換えなければ30円弱で乗れる北京では、高すぎる。なのに北京は毎日クルマだらけで、街中の渋滞が深刻になっている。自転車移動はほとんど見かけない。もう庶民は北京市内中心部に住めなくなっているのかもしれない。
  • 「地下鉄に乗る」。フリーの日が一日あったので、開通して間もない地下鉄5号線に何回か乗った。階段やエスカレーターを降りるとまず、公安の職員に手荷物をX線検査のベルトコンベアに乗せるよう指示される。テロ対策らしいが、実態はどうも反政府活動の取り締まりも兼ねているようだ。天安門広場故宮博物院に入る際にも同じような検査を受けなければならない。
  • 「地下鉄の切符を買う」。もし、日本からの旅行客で地下鉄に乗るならば、必ず「5元札」か「10元札」を用意すること。自動券売機で受け付けている紙幣はその二種類しかない。硬貨なら「1元硬貨」が使える。この重要な情報を現地のガイドは教えてくれず、私たちは100元、20元、1元札しか持ってなかったので、しかも券売の窓口が閉まっていて駅員が全く見つからず、両替に難儀をした。そんな自動券売機は液晶タッチパネル表示。中国語だが英語表記にも切り替えられる。先にも書いたが運賃は乗り換えなければ2元(約28円)。韓国ソウルの地下鉄初乗りはICカード使用で900ウォン(当時約63円)だったから、ソウルより安い。降りたい駅のボタンと枚数のボタンを押せば必要な金額が表示されるので、その額のお金を入れる。すると切符ではなく、一回きり専用のICカードが出てくる。このカードを駅に入る時はタッチして入り、駅を出る時は回収口へカードを差し込めば出られる。この券売機、メーカーはOMRONであった。御室のオムロンにこんなところで会うとは。
  • 「地下鉄のホーム」。5号線のホームはホームドア方式。案内表示は次の電車が何分後、その次の電車は何分後到着と表示されている。日本より分かりやすい。連結は数えていなかったが、10両はあったと思う(記憶違いかもしれないが)。なのに昼も夕方も夜も混んでいた。天井に圧迫感があったので、日本の電車よりも少し天井が低いのかもしれない。電車内は液晶画面で次の駅の案内表示や映像広告などが流されていた。
  • 「新聞」。駅構内やホームで売店はほとんど見かけなかった。唯一、地下鉄北京駅で新聞スタンドを見つけた程度。だから新聞を読んでいる人もほとんど見かけなかった。私は日本の選挙結果を特集して報じていたタブロイド紙「北京晩報」(料金1元(=約14円)は安いと思ったが、昨年までは0.5元だったらしい)を、セブンイレブンで買った。私の勝手な思い込みだが、中国と言えば「人民日報」だろうと思っていたのだが、街中でそれを見かけることは結局一度もなかった。市民は何で情報を得ているのだろう。金持ちが増えているのでテレビやインターネットかもしれない。
  • 「テレビ」。といっても外資系ホテルのケーブルチューナーで見るテレビの情報でしかないけれど。40チャンネルほどあるうち、3分の2は中国語のもの。CCTVは十数チャンネルあった。平日の朝にどれかのチャンネルで軍服を着た女性による人民解放軍の軍歌?を歌っている映像を見た。CNN、BBCNHK国際放送、その他いくつかの英語放送もあった。上海や香港のチャンネルも見られた。面白かったのは、日本の映画を中国語字幕や吹き替えで放送しているチャンネルだった。私が見たのは火垂るの墓」の吹き替え版と、山口百恵の映画「霧の旗」(1977)の中国語字幕版だった。ホテルに到着して最初に見たNHKの番組(つまり北京で最初に見た日本語の番組)は、なんの因果か「しょこたん」のライブコンサートの番組だった。NHK国際放送は「しょこたん」やアニソン、東京の若者文化などの番組を意図的にたくさん放送しているようだ。それと演歌番組。どれもこれもつまらない。ついつい、民放が恋しくなった。(つづく)