(追加情報)日本図書館協会が条例改正案の慎重審議を求める「要請」を発表

東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について(要請)

平成22年2月24日に東京都知事が都議会に提出した「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案」(以下、「条例案」という。)につきましては、都民の有する表現の自由と知る権利を侵害することが懸念されます。
つきましては、今会期内に採決を急ぐことなく、ひろく都民および言論、出版はじめ関係団体の意見を聴取し、慎重にご審議下さいますよう要請します。

要請の理由

一.条例案は、「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」を掲げていますが、既に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下、「児童ポルノ禁止法」という。)に基づく規制が行われており、屋上屋を重ねる過剰な規制となることが危惧されます。

二.いわゆる児童ポルノを規制する保護法益は、「児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害していることの重大性にかんがみ、児童の権利の擁護に資する」(平成11年4月27日、第145回国会法務委員会における同法案発議者、林芳正議員の趣旨説明)です。青少年の健全育成を目的として青少年の知る自由を制約する「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は、いわゆる児童ポルノを規制することには馴染まないと懸念されます。

三.児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」の規定が主観的かつ曖昧であることは平成21年6月26日の衆院法務委員会でも指摘されています。私たちは国会における論議、さらには国民的論議を注視する段階にあると考えます。

四.条例案は、曖昧かつ広範な規定として論議されているいわゆる児童ポルノに該当しない「青少年を性的対象として扱う図書類」を「青少年性的視覚描写物」と名付け、その「まん延抑止」を東京都の「責務」とし、図書類の頒布を業とする事業者にそのために「適切な措置をとる」義務を課しています。都民に対しては「青少年が容易にこれらを閲覧又は観覧することのないように努める」としています。
 このことは、青少年と性を扱う図書類一般を、公立図書館を含め社会から排除することになりかねず、深く危惧されます。

五.条例案は、都民に対し「児童ポルノをみだりに所持しない責務」を定めています(第18条の6の4)。これは単純所持を規制するものであり、現行の児童ポルノ禁止法が過剰な規制を抑制するために採用していない規制であって、条例案から削除されるべき規定です。
 条例案には、「非実在青少年」として、コミックなど創作物も不健全図書として規制できるとしています(第7条の2ほか)。これは先に引用した児童ポルノ禁止法の保護法益とは無縁な規制であり、現行の児童ポルノ禁止法が過剰な規制を抑制するために採用していない規制であって、条例案から削除されるべき規定です。

六.条例案は、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するおそれ」(第7条の2ほか)を不健全図書の指定基準に新設しています。
 子どもの性に対する判断能力の形成は、親が一義的に責任をもつものであって、行政や警察ではありません。「子どもの権利条約」第18条の1「締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。」を尊重し、当該基準は削除されるべきです。

以上

「東京都青少年健全育成条例改正案」に反対します

  • 私は京都精華大学マンガ学部の意見書が表明した「懸念」に全面的に賛同し、メディアによる性的表現全般を抑圧し、表現の自由を侵害するおそれのある同条例改正案に反対します。

三重短の講義を終えて

  • 三重短期大学で担当してもう5年になる「社会思想史」の講義が、昨日で全日程を終えた。
  • 今期の年度テーマとして「社会思想と貧困」を設定したら、受講学生数が昨年のほぼ2倍になった。予定していた教室では入りきらず、大教室へ変更になったほどだ。
  • そもそも「社会思想」が学問として扱われるようになったのは、資本主義社会における貧困が一つの契機になっていることは間違いないわけで、今まさに「社会思想」として政治思想や倫理思想を読み直すことは、一定の意義があると思われるし、学生たちも意義を感じてくれたのだろう。
  • この短大は公立(津市立)である。校舎やグラウンドなどの設備は、私立に比べれば充実しているとは言いがたい。教員用の印刷機は機種が古く、よく壊れる(苦笑)。公立の相対的な学費の安さから、経済的な理由で進学している学生が一定数いる。短大なので女子が割合としては多数派であるが、男子も結構通っている。何より驚かされるのは、学生たちの勉学態度の熱心さである。逆にこちらが毎週力を与えてもらっているほどだ。徹夜明けでどんなに眠くても、教壇に立てば学生のまなざしに気持ちが奮い立つ。
  • 近年、自治体によっては大学存続に消極的な首長もいるようだ。大赤字の中、教育機関を運営するのは大変なのだろう。それは同情しないでもない。しかし、この短大で学生の熱意に直接触れていると、地元の学生の貴重な進学の機会を保障している津市は、きわめて有意義な税金の使い方をしていると感じる。「大学へ進みたかったので、(家の家計が苦しく)ここがなければ高卒で仕事を探さなければならなかった」という声を聞くたびに、まさに「公」がやるべき仕事じゃないか、と思うのである。

この寒さは希望が見えないせいでもある

  • 就職内定、大卒73%、高卒68%=悪化幅は過去最大−昨年11月末時点(時事通信

 厚生労働、文部科学両省が14日まとめた今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日時点)は73.1%で、前年同期を7.4ポイント下回った。高校生の内定率(同11月末時点)も68.1%と同9.9ポイント低下。ともに2年連続の悪化で、下げ幅は過去最大だった。(中略)
 都道府県別の高卒内定率は最高が福井の85.0%で、三重の83.9%が続く。最低は沖縄の36.6%で、北海道の45.2%が次に低い。(後略)

  • この時期の内定率は大学生が96年以降で最悪だそうだ。特に文系の大卒内定率の落ち込みがひどく、前年比8.4ポイントの大幅な低下。なぐさめにもならないかもしれないが、内定が決まらないことをあまり深刻に悩まない方が、体のためという気がする。
  • 三重県はいつも高卒の就職内定率が高いので有名な県だ。それでも8割強。沖縄や北海道では半分も行かない。毎年暴れる成人式は沖縄が残念ながら映像の「定番」だが、こういう事情も分かった上でテレビを見ていると、単に「今時の若者は」とは言っていられなくなるのではないかと思う。

ツイッターとの併用生活が始まった

  • 先月中旬に始めた「ツイッター」。140文字の「ミニブログ」などと説明するむきもあるが、実際の感覚としてはかなり違う。SNS的な側面もあるが、違う点もある。ブログ的な面もあるが、もちろん同じではない。ブログは長文向きだと思うし、SNSは(私の場合)クローズドの交流に向いている。
  • では、「ツイッター」は発信と受信が同時に進行する。私の「つぶやき」(この言い方は好きではない。「ささやき」とか「語り」にしてほしいところ)を、ユーザーの誰もが読める(非公開にしない限り)。だから、どこから私宛の返信が来るかは分からない。この点はブログ(コメント自由の場合)と同じ。ただし、「ツイッター」の良いところは、発信者が「フォロー」(特定のIDの発言を常に更新して読める状態にする)しないかぎり、「ホーム」ページには何も表示されない。また、ブロックしたいユーザーを特定して遮断できる。
  • もちろん「捨てアカ」、つまり暴言や罵倒などの攻撃目的にアカウントを大量に取得して、特定の者を集中攻撃をする人間が出てこない保証はない。しかし、メールのように訳の分からないスパムメールが毎晩届く、等という現象はまだ起きていない。もし送りつけたところで読まないようにすれば良いだけだし、そのアカウントは削除されるだろうから、今のところは発生していないのだろう。
  • 誰かの発言をフォローしたい場合は、ブロックされない限り誰でもフォローできる。どんな著名人でも、どこの誰か全く分からない人の言葉も、日々読むことができる。アットマーク一発でメールのようにメッセージも送れる。もちろん向こうが読むかどうか、返信するかどうかは誰にも分からない。テレビやラジオでしか知らない人と言葉のやりとりができる瞬間を私も経験して、驚かされることが度々ある。
  • 自分が言葉を発し、また誰かの言葉を読んでそれに反応する「空間」デザインは、あなた次第でどうとでも作れる。ここには「場の自由」が一応保証されている。ただ当然、ネットの空間は一般社会と同様のことが起こりうる世界だから、不愉快な思いや詐欺まがいの目に遭う人も出てくるだろう。しかし、メールやブログ、SNSでの経験を積んだ人が出入りするならば、リテラシーもまた積み上がっていくだろう。
  • だから、私のブログの使い方は、このような「長文」を「残しておきたい」場合に、気まぐれに更新しようと思う。こちらがご無沙汰になったら、ツイッターを覗いて頂けると有難い。

(1/1)ブログを再開します

  • 新年、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
  • 10月から長期にわたってブログを一時閉鎖(プライベートモード【このブログでは私しか閲覧できない仕様】に切り替え)していましたが、1月からブログを再公開することにしました。
  • 一時閉鎖前と今との違いは、以下の通りです。1.このブログが印刷物等になった場合、残しておいても良いだろうと思われる日記だけに内容を絞る。そのために私のブログでは頻繁に登場する「今日の私はどのように体調が良くないか」という話は大幅に削除しました。これらは別のところで発散するようにします。2.今回の一時閉鎖の一因になった2009年の夏季休暇期間中の日記については、一部を除いて非公開にします。一定の時期が過ぎれば再公開を検討します。
  • 今後のこのブログの使用方法についての一応の方針は以下の通りです。1.一週間の仕事の内容を簡潔に記録する 2.仕事や研究に関して、その時々に感じたことなどをなるべく書き記しておく 3.買った本や読んだ本、見たドキュメンタリー番組などの感想を記録する
  • それでは、今後ともこのブログをよろしくお願いいたします。
  • 追伸。昨月はじめに「ツイッター」を始めました。今のところ、大変有意義に利用させて頂いております。IDは、ItoShinya(本名のまま)です。参加されている方のフォローをよろしくお願いします。私も、なるべく「自分」の姿を公開されている方を中心にフォロー返しさせて頂きます。